【完全版】離婚を決断したら準備すること5選

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日本の結婚件数は、毎年約51万件前後といわれています。

では、離婚件数はというと…

約17 万組前後といわれており、3組いれば1組は離婚する時代といえます。

実際に離婚するのが3組に1組とすると、離婚しようか悩んでいる方々はそれ以上にたくさんいると考えられます。

事実、離婚に関して悩んでいる方は想像以上に多く、離婚に関するご相談をいただく機会は極めて多いです。離婚には、性格の不一致や、相手方の不貞行為など色々な原因が考えられ、すぐにでも離婚に向けて動き出したい人もいるでしょう。

しかし、「とにかく早く別れたい」「今すぐにでも離婚したい」というその場の勢いに任せて行動すると、後々大きな問題が生じることが多々あります。そのため、離婚をするにあたっては適切な準備が必要です。本ブログでは、離婚をしたいと配偶者に伝える前に必ず準備しておきたい5つの事項について、弁護士が詳しく解説をいたします。

①離婚が法律上できるか確認

①ー1 協議離婚について

双方の合意があれば、どのような理由でも離婚をすることが可能です。これを協議離婚といいます。離婚届に記入し提出することで、離婚が成立します。

協議離婚の場合、離婚届には夫婦双方の署名に加え、証人2名の署名が必要です(押印は自由)。証人は、成人していさえいれば、どなたでも問題ありません。

提出は、夫婦の本籍地または一番近い市区町村役場で行うことができ、窓口に直接持参する方法のほか、郵送や第三者による提出も可能です。なお、離婚届に加えて必要になる書類は以下のとおりです。

●本人確認書類
●戸籍謄本(本籍地ではない市区町村役場に提出する場合)
※詳しくは、提出先の市区町村役場のホームページなどをご確認ください。

①ー2 調停離婚について

離婚の合意が得られなかった場合、法律の力を借りて離婚をする必要があります。すぐに思い浮かぶのは裁判をして離婚判決をもらうというものですが、このような離婚のための裁判に進む前には、原則として、離婚調停を行う必要があります。離婚調停の手続きとしては以下のとおりです。

まずは、夫婦のうち「離婚したい」という意思のあるほうが、家庭裁判所に調停を申し立てます
一般的には、配偶者の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てますが、夫婦間の合意があれば、ほかの家庭裁判所に申し立てることも可能です。

主な必要書類は以下のとおりであり、裁判所に持参または郵送で提出し、申し立てることになります。

●申立書とその写し
●夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)
●年金分割のための情報通知書(年金分割を希望する場合)

離婚調停を申し立てる際の費用としては以下のとおりです。

●収入印紙代 1,200円
●切手代 1,000円程度(裁判所によって異なる)
●夫婦の戸籍謄本の取得費用 450円
※このほかにも、費用が掛かる場合があるため、詳しくは、調停を申し立てる家庭裁判所のホームページなどをご確認ください。

調停を申し立てたら、決められた期日に裁判所に行くことになります。
調停期日には、調停委員という専門家があなたと配偶者のそれぞれから話を聞き、意見の調整を試みることになります。
1回の調停期日では、夫婦交互に約30分ずつ話を聞くということを2回ほど繰り返し、合計2時間程度で終わるが多いです。

調停では、夫婦が顔を合わせることがないよう、それぞれ別の待合室に待機し、別々に調停室に呼ばれるといった配慮がなされています。

一般的には、1回の調停期日だけで双方が納得のいく結論が得られることは多くありません。そのため、必要に応じて、次回の調停期日が設けられることもあります。調停と調停の間は1か月程度あけられることが多いです。

このように調停を重ねた結果、双方が納得する条件の下、離婚に合意ができた場合は、調停が成立し、調停調書が作成されます。
この場合は、調停が成立してから10日以内に、離婚届と調停調書謄本を市区町村役場に提出することになります。

合意に至らない場合や、配偶者が調停に出席せず話合いができなかった場合などには、調停は不成立となるため、離婚裁判を提起することになります。

①ー3 裁判離婚について

協議離婚ができず、調停離婚も成立しなかった場合、離婚を求めて裁判で争うことになります。離婚裁判では、民法で定められている特定の理由がなければ離婚することはできません。そのため、協議離婚および調停離婚が成立しそうにないときは、以下のいずれかの事由に当てはまるかを確認しましょう。

不貞行為(770条1項1号)
配偶者が、あなた以外の人と自由な意思に基づいて性的な関係を結んだかどうか

悪意の遺棄(770条1項2号)
配偶者があなたに生活費を払わない、配偶者が勝手に別居してしまった、など、婚姻生活を送るにあたっての同居・協力・扶養義務を行っていないといえるかどうか

3年間の生死不明(770条1項3号)
配偶者と3年以上連絡が取れず、生死すら分からないかどうか

強度の精神病となり回復の見込みがない(770条1項4号)
配偶者が重度の精神疾患により、あなたを認識できない、会話が成立しないなどの状態にあるかどうか

その他婚姻を継続しがたい重大な事由(770条1項5号)
配偶者が、DV、モラルハラスメント、過度な浪費、借金、宗教活動などを行っている結果、婚姻関係が破綻しているといえるかどうか

上記5つのいずれかに当てはまる場合は、離婚が認められる可能性があります。ただし、これらの事情が存在するからといって、必ず離婚が認められるわけではないことに注意をしましょう。

②相手に請求できるお金や資産の整理

離婚する際には、相手方からお金や資産を受け取ったり、援助を受けることができる可能性があります。
何をどれぐらい受け取ることが可能かについては、各家庭を取り巻く事情によって異なります。そのため、まずは、以下の項目を整理しておきましょう。

婚姻費用
話し合いによって離婚を前提とした別居をすることが決まったときなどには、相手に生活費を請求することができる場合があります。
具体的な金額は、家庭裁判所でも広く活用されている基準(算定表)に基づいて決まることが多いですが、基本的にはあなたの収入よりも配偶者の収入の方が多い場合に、婚姻費用がもらえる可能性が高くなります。例えば、あなたの年収が300万円で子ども2人の面倒を見ており、相手方の年収が1000万円の場合、月々相手方から支払いを受けられる金額は約198,000円になります。面倒を見ている子どもの数や年収によって金額は変動する可能性がありますが、相当な金額ですので、必ず請求するようにしましょう。

●財産分与
婚姻中、夫婦が協力して築いた財産は、ふたりの共有財産となります。
もし、あなたが家事専業であったとしても、あなたが家事をしていたからこそ配偶者が仕事に専念してお金を稼ぐことができたということができるため、あなたと共に築いた財産であるとみなされることがあります。婚姻後に建てた家などの不動産も対象であるため、考えられるお金や資産はできるだけ多く、必ずリストアップしておきましょう。ただし、それぞれが独身のときに貯めた貯金や相続で受け取った不動産やお金などは、財産分与の対象とならない場合もあるので注意しましょう。

慰謝料
上記で述べた、法定の離婚事由(不貞行為や悪意の遺棄、DV、モラルハラスメントなど)の行為を相手がしていたときは、慰謝料を請求できる場合があります。反対に、あなたが法定の離婚事由に該当する行為をしていた場合には、慰謝料を支払う側になることもあります。
慰謝料は、離婚に至らせた責任がある場合には、男女問わず、裁判所から支払いを命じられる可能性があります。

養育費
養育費とは、子どもが社会人として独立して生活できるまでに必要な子どものためのお金です。あなたに子どもがいて、あなたが親権者となる場合には、相手から養育費を受け取ることができます。
子どもの教育計画を検討し、何のためにどれくらいのお金が必要かを説明できるようにしておきましょう。養育費の額については、婚姻費用と同様に算定表に基づいて決まることが多いです。

助成金など
離婚後、ひとり親家庭になったり、安定した所得を得られない可能性がある場合は、市区町村による扶助や助成金を得られる可能性があります。助成される金額やサービスは市区町村によって異なりますので、離婚後の居住地となる自治体のホームページなどで確認をおすすめいたします。

③証拠の収集

離婚したいと相手に伝えても、相手に拒否されたり、離婚の条件面で合意がとれず、話し合いがスムーズに進まないケースは極めて多いといえます。そこで、あなたが提示する有利な条件を相手方に応じてもらうためには「証拠」が不可欠です。

この証拠は、離婚をすることを裁判などで認めてもらうために必要であるのはもちろんですが、慰謝料や財産分与、養育費の請求など、さまざまなシーンで必要とされるものになってきます。

●収集しておくべき資料
浮気、DVなどの証拠(例えば、不倫相手とのメールのやり取り、暴力を受けた際にできた怪我の写真・診断書、探偵に依頼した調査報告書)
預貯金通帳(通帳のコピー)
所得を証明する書類(給与明細、確定申告書類など)
不動産登記簿
生命保険に関する書類
証券口座の明細

もし、相手が厳重に管理していて見せてくれないなどの理由で、十分な資料を集められないときは、弁護士に相談してみましょう。「弁護士会照会制度」を利用することによって相手の預貯金等を調査することができる可能性があります。

また、浮気の調査を自身でやるのは極めて大変です。そこで、よく使われるのが探偵です。探偵社に依頼すれば、あなた自身は通常通りの生活を行いながら、調査報告書が出来上がるのを待つだけでよく、仮に浮気をしていた場合は、ホテルに入る際の画像や、不倫相手の詳細も入手することができる場合があり、その証拠の力は絶大です。是非依頼を検討するようにしましょう。

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④専門家への相談

離婚の準備は自力でできるものも多いですが、困った時には弁護士にアドバイスを求めることも重要です。離婚にまつわるお金や権利、文書作成について弁護士から正しい知識を教えてもらうことにより、請求できると思ってなかったお金を手に入れたり、相手方から出された不利な要求に対して正しく応じることができます。

弁護士に間に入ってもらうことでお互いに冷静に言い分を伝えることもできるでしょう。

特に、モラハラ・DVなどを行う相手の場合は、直接やり取りするよりも経験豊富な弁護士に間に入ってもらった方がスムーズに話し合いが進む場合が多いです。

貰えるはずのお金を取り損ねたということがないよう、まずは弁護士に気軽に相談してみましょう。

⑤離婚後の生活のシュミレーション

⑤ー1 苗字と戸籍をどうするか

夫婦は婚姻の際に、現状では、夫または妻のどちらかの苗字を名乗ることになります。

婚姻により氏を変えた人は、離婚の日から3ヵ月以内に戸籍法上の「離婚のときに称していた氏(苗字)を称する旨の届」を出せば、元の苗字を名乗ることができます

また、父母が離婚しても子どもの苗字は当然変更されません。そのため,母親が親権者であり旧姓に戻った場合には,親権者である母親と子どもの苗字が異なるという事態になりますので、改めて変更の届出をする必要があります。

さらに、子どもと親の苗字が異なる場合,子どもは親の戸籍に入ることができません。そのため、婚姻によって苗字を変えた親が親権者となり、自分の戸籍に入れたい場合、家庭裁判所に対して「子の氏(苗字)の変更許可(民法791条)」を申し立てて、子どもを自分と同じ苗字にする必要があります

⑤ー2 子どもの学校などの手続き

子供の保育園や学校についても検討が必要です。離れた所に引っ越して住民票を移してしまった場合でも、役所や保育園・学校に相談をすれば今までどおり通園通学が可能となることがあります。

子供にとってどのような選択がよいか、子供の利益や意見を最大限尊重して決定するようにしましょう。

また、あなた自身が就職活動や仕事をしていくには、安心して子供を預けられる環境が必要となりますので、両親や役所などからサポートが受けられないか検討しましょう。

⑤ー3 生活費の確保

離婚前後はあなた自身が子供のため、生活のために慌ただしく動きまわらなければならない時期ですが、そんな時だからこそ子供の不安を見逃さないように細心の注意を払いましょう。離婚には相当な気力と体力を使います。感情のすれ違いによるストレス、生活環境が大きく変わるかもしれないといった不安もありますし、子どもがいる場合は、夫婦だけの問題ではなくなります。そのため、感情に任せてただ行動すればいいというものでは決してありません。

そのため、前述の離婚に向けた入念な準備が必要なことはもちろん、あなた個人が決断し、行動しなければならないシーンが多々発生することになります。

離婚後、もっとも困ってしまいがちなものは、やはり経済面です。特に、家事専業であれば、たとえDVにあっていても経済面の不安から離婚をあきらめてしまう場合もあります。また、一家の大黒柱として働いていても、給料すべてを配偶者に渡してしまっている場合、自分で自由にできるお金がまったくないというケースもあります。

離婚を検討する際に最初に必要となるものが別居費用です。現在住んでいる住宅で暮らし続けられればよいのですが、そうとも限りません。話し合いの結論によっては、離婚が成立する前に別居をしなければならないケースもあります。別居するにあたっては、引っ越し費用や敷金、礼金、仲介手数料、当面の生活費など莫大な費用が必要となります。

具体的には、100万円程度あると少し心に余裕がうまれるでしょう。簡単ではありませんが、できる限り節約するなどして、可能な範囲で貯金をしておくことをおすすめいたします。また、離婚する前から就業しておけば、離婚後の生活に困る確率を大幅に減らすこともできます。可能な限り離婚後の生活を見据えて行動しておきましょう。

なお、別居費用のための貯金は、あなた自身の口座で行い、できる限り配偶者に気づかれないように用意しましょう。


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